小切手を現金化する際の注意点

この記事で分かること
- 小切手とは何か?
- 小切手を現金化する方法
- 小切手を紛失したらどうなるのか?
目次
今回は小切手を現金化する方法や注意点を解説いたします。
小切手を現金化する方法

小切手とは
小切手は他人と金銭的な取引を行う際に使用し、第三者に不正に利用されないよう防犯対策として使われております。
現金の受け取り方法
小切手は銀行において現金化ができます。
受け取る方法は2種類あります。
- 銀行で所定の必要な手続きを行った後に、小切手を発行した方の口座から引き落とされて現金にする
- 指定口座に振り込み
どっちの方法でも構いません。現金を受け取る方の事情で、決めて頂ければ良いかと思います。どちらの方法が良いのかに関しては、概ね、引き落とす現金の額が大きい場合は、さすがに大金を現金で持ち歩くには不便で不安で危険ですので、後者の指定の口座に振り込みをしてもらった方が良いかと考えます。
ただし、金額が多いと振込に限定されます。
現金化する際に掛かる手数料
決められた支払い場所で現金化すれば、基本的には手数料はかかりません。
決められたところ以外で手続きをする場合は、取り立て手数料として、数百円かかることがあり、その手数料は金融機関ごとで異なります。
事前に用意しておくもの
- 小切手
- 印鑑
- 本人確認書類
運転免許を持っている方なら、常に携帯していると思いますので、忘れないと思います。
また、受取金額が、10万円未満でしたら不要です。
小切手の種類と現金化方法について

持参人払小切手
最も一般的な小切手で、どなたでも利用可能で、且つ、最も簡単に現金化することが出来ます。
現金化の方法
自由に自分の好きな銀行や地元の信用金庫などで、窓口に申し込んで手続きをするとすぐに換金できます。
注意点
ただし、紛失や盗難が起きると第三者に悪用されるケースもある為リスクが高いです。
振出人はこのような事態を避けるために特定の金融機関でしか受け取れないようにするなど制限を付けることもできますが、申請から換金までに時間がかかります。
線引小切手
これは小切手の表面上側に二本平行線が記載されているのが特徴です。
現金化の方法
これは、銀行の窓口に持参して、自分名義の銀行口座への振り込みのみとなります。
この場合は手続きをしても手形交換所を経由して口座に振り込んでもらう仕組みで、ある程度の時間がかかりますが振出人が確認しやすいメリットがあります。
デメリットについて
なりすましや不正利用などの犯罪防止を主な目的とした小切手なので、自由度は落ちます。主に会社間での取引で、信用担保として活用されているのです。
ただし、換金までに時間がかかるため企業のイメージを低下させる場合もあります。
もしも持参している小切手がこのタイプであれば、一度、指定の金融機関に直接相談して、対応方法を教えてもらった方が良いです。裏面に裏判と呼ばれる銀行印を押していればすぐに現金を受け取ることも可能です。
先日付小切手
小切手の発行している人が、現時点で資金を準備できないため、振出日を現在よりも先に設定している小切手になります。
現金化の方法
振込日に記載された当日以降に銀行で現金化ができます。
注意点
支払い元の事情によるところの影響が大きいので、受け取り側で先走って、支払い元に確認もせずに、現金化の手続きを行ったりすると、トラブルになりかねないので、支払い元と、事前によく確認してから現金化の手続きを行うことをおすすめします。
銀行振出小切手
銀行が自らの名義で発行する小切手で、支払保証が付いている信頼性の高い小切手です。不動産売買など重要な取引で多用されます。
現金化方法
銀行の窓口で本人確認後、現金受取が可能です。自己宛式と記名式の2種があります。
注意点
- 銀行発行とはいえ、持参人が本人確認できない場合は支払われない
- 発行手数料がかかることも
記名式小切手
小切手に受取人の名前が明記されているタイプで、名義人本人しか現金化できません。
現金化の方法
- 1.小切手に記載された名義人本人が銀行窓口に持参
- 2.本人確認書類を提示し、名義確認を受ける
- 3.問題がなければ、その場で現金を受け取るか、自分の口座に入金される
代理人の場合は委任状が必要となります。
注意点としては他人への譲渡はできません。
指図式小切手
指図式小切手は「〇〇様またはその指図人へ」などと書かれた小切手です。裏書によって他人へ譲渡可能です。
現金化の方法
受取人または裏書された譲渡先が銀行に持ち込んで換金できます。
注意点
- 裏書が連続している必要あり(裏書が飛んでいると無効になる)
- 商取引での流通に使われることが多い
裏書禁止小切手
裏面に「裏書禁止」などと記載された小切手で、譲渡を禁止する目的で使用されます。
現金化の方法
最初に指定された受取人のみが銀行窓口で換金可能です。本人確認書類を提示し、本人確認が取れたうえで現金化されます。
紛失した場合の対処法

小切手は、大金を持ち歩かずに支払いや受け取りが出来る大変便利な有価証券ですが、その取扱いを一歩間違えると、大変な事態になるので、その取扱いには特に注意を促して取り扱う必要があります。
もしも失くしてしまったり、他の人に盗まれたりして、いわゆる「なりすまし」で引落しをされてしまえば、大変な損害を被るはめになりますので、失くしたりしたら、速やかに支払元や銀行に連絡して、その小切手の取引を停止してもらう処置が必要になります。
会計管理をする時
小切手を現金化すると手元に残らないため、コピーを取って記録するとズレが起きなくなります。
また、そのまま机やカバンなどに入れていると事務所荒らしなどに狙われていつの間にか現金化されてしまう事態も最悪ありますので、受け取ってから現金化の手続きをすぐにするように心がけることが大事です。
有効期限について

小切手を現金化する際に、最も気を付けなければならないのが、その取引有効期限です。
振出日の当日から10日以内であり、その期間の中で手続きを行わなければなりません。
期限が過ぎた場合
ただし、昨今では金融機関によって10日過ぎていても手続きを行ってくれるところもありますので、諦めずに金融機関に相談してみると良いでしょう。
小切手自体には6ヶ月間の有効期限があり、期間内であれば振出人に支払い請求をすれば多くの金融機関で応じてくれます。
ただし、任意なので保証されたものではありませんので、交渉が必要になります。手続きなどの余計な負担が掛かる為なるべく避けたいところです。
現金化までの時間

それぞれの種類によって異なります。
持参人払小切手
銀行に持って行って、所定の手続き後、即座に現金として受け取りが出来ます。
線引小切手
銀行口座に振り込み時間が掛かりますので、およそ1日か2日以上は掛かります。
先日付小切手
未来に設定された期日以降でなければ、現金化は難しいので、支払元との事前確認次第になります。わざわざ未来日にする理由は資金が確保できない為ですので、受け取る時は振出日を確認することが重要です。
小切手の現金化の手続き自体は意外と簡単なので、とにかく管理と有効期限に十分気を付けて取り扱う事をおすすめします。
銀行振出小切手
銀行が直接発行するため、発行行の窓口であれば本人確認後すぐに現金化できます。
ただし他行では取立扱い(小切手を一時的に預かり、発行銀行に対して支払い請求を行う手続き)となり、1~3営業日程度かかることもあります。
記名式小切手
受取人本人が銀行窓口に持参すればその場で現金受取が可能です。
ただし他行では同様に当日換金できません。
指図式小切手
裏書譲渡された人でも、裏書が連続していれば現金化可能ですが、銀行が確認に時間を要する場合、1営業日程度掛かります。
裏書禁止小切手
受取人本人が銀行窓口に持参すれば即日換金可能です。
小切手の換金できないケース集:実用的なエラー防止ガイド

小切手の換金において、様々な理由で銀行から受け取り拒否されるケースがあります。金融実務における最も一般的な問題点と、その対処法について詳しく解説します。<
1. 期限切れによる換金拒否
小切手には法定の呈示期間が定められており、この期間を過ぎると換金できなくなります。
具体的な期限
- 国内小切手:振出日の翌日から起算して10日間
- 海外小切手:振出日の翌日から起算して70日間
注意点
- 土日祝日も含めて計算されるため、実際の営業日数はさらに短くなる
- 振出日当日は期間に含まれない
- 期限切れ後は法的に支払義務が消滅するため、銀行は受け取りを拒否する
法務局等の小切手の特別期限
供託金の払い渡し請求で発行された小切手は、振出日から1年以内に金融機関で現金化をしなかった場合は、以降、金融機関に持ち込んでも現金化ができなくなるため、通常の小切手より長い期限が設定されています。
2. 記載内容の不備・誤記
小切手に以下の項目が記載されていない場合、換金が拒否されます。
必須記載事項
- 振出人の署名または記名捺印
- 受取人名(持参人払いの場合は除く
- 金額(数字・漢数字両方)
- 振出年月日
- 支払金融機関名
よくある記載ミスとその対策
金額の不一致
- 数字と漢数字の金額が異なる場合は無効
- 修正テープや修正液での訂正は受け付けられない
- 金額欄に空白があると、不正な金額追記のリスクがあるため拒否される
日付の記載ミス
- 存在しない日付(例:2月30日など)は無効
- 未来日付の小切手は、その日付まで換金できない(先日付小切手)
- 日付の訂正は振出人の訂正印が必要
署名・捺印の不備
- 届出印と異なる印鑑での捺印
- 印刷が不鮮明で照合できない場合
- 署名が届出書類と明らかに異なる場合
3. 物理的な破損・汚損
小切手の券面に以下のような損傷がある場合、換金が困難になります。
換金拒否となる破損例
- 金額欄や振出人欄が判読不能
- 券面が破れて重要な記載事項が欠損
- 水濡れや汚れで文字が判読困難
- 券面の半分以上が欠損している場合
軽微な破損の場合
また、角の小さな破れや軽微な汚れは、記載内容が明確に判読できれば受け付けられる場合があります。この判断基準は金融機関により異なるため、事前確認が必要です。
偽造・変造の疑い
以下の場合は偽造・変造の疑いがあるとして換金を拒否されます。
- 明らかに異なる筆跡での記載
- 用紙の材質や印刷が標準的な小切手と異なる
- 透かしやセキュリティ機能が欠如している
- 記載内容に不自然な修正痕がある
4. 振出人の信用問題
不渡りによる換金拒否
振出人の口座に十分な残高がない場合、不渡りとなり換金できません。
不渡りのパターン
- 残高不足による不渡り
- 口座凍結による不渡り
- 振出人の倒産・破産による不渡り
取引停止処分
振出人が手形交換所で取引停止処分を受けている場合、その後に振り出された小切手は換金できません。
5. 受取人に関する問題
記名式小切手の場合、適切な裏書がないと換金できません。
裏書の問題例
- 受取人と裏書人の名前が一致しない
- 裏書の連続性が確認できない
- 裏書人の印鑑が不鮮明
身分証明書の問題
換金時に提示する身分証明書に問題がある場合、換金が拒否されます。
- 有効期限切れの身分証明書
- 受取人と身分証明書の名前が一致しない
- 受け付けられない種類の身分証明書
6. 金融機関固有の問題
取扱時間外
金融機関の営業時間外や、小切手取扱時間外の場合は換金できません。
システム障害
金融機関のシステム障害により、一時的に小切手の換金ができない場合があります。
口座開設の必要性
一部の金融機関では、小切手換金のために口座開設が必要な場合があります。
小切手の換金トラブルを防ぐためには、受取時の細心の注意と、適切な管理・換金手続きが不可欠です。特に期限管理と記載内容の確認は、換金拒否を防ぐ最も重要な要素です。不明な点がある場合は、換金前に取扱金融機関に事前確認することで、トラブルを未然に防ぐことができます。
小切手が廃止される
小切手や手形は2026年をめどに廃止されるようになるようです。それに代わり電子手形になります。
電子手形とは
電子手形とは電子の決済サービスです。これにより電子的に債権が記録されるので、ネットで簡潔に済ませることができます。
コスト減
また紛失も防ぐことができますので、管理も簡単になるメリットがあります。以前では手形が紛失した場合の保険に入るケースもありましたが、保険料も必要なくなります。
また手形を管理する人の人件費も削減できるのです。
素早く現金化
さらにオンライン上で行えますので、銀行に行かずともすぐに現金化できるようになります。
小切手を現金化する際のよくある質問
- 銀行が休みです。他社で現金化できる業者はありますか?
小切手は譲渡できますので存在しますが、数が多くない為手数料や正規の業者なのか良くご確認してご利用ください。
- 小切手と手形の違いは何ですか?
手形は記載された日付にならないと現金化できませんが、小切手はすぐに現金化できる違いがあります。
- 小切手を現金化する際に手数料は掛かりますか?
いいえ。同じ支店であれば発生しません。 ただし他の支店であれば手数料が発生します。
- 小切手はどこの銀行でも現金化できますか?
持参した銀行が発行元の銀行であれば即日換金できる場合があります。他行に持ち込むと「取立扱い」となり、入金までに1~3営業日かかることが一般的です。
- 本人確認書類は必要ですか?
はい、多くの銀行で本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)が必要です。特に高額な小切手や、裏書された小切手を現金化する場合は確認が厳しくなります。
- 他人から譲ってもらった小切手は使えますか?
小切手が「指図式小切手」であれば、裏書による譲渡が可能です。裏書が適切に行われていれば第三者でも現金化できます。ただし「記名式」「裏書禁止小切手」の場合は、譲渡や第三者の現金化はできません。
- 小切手の一部だけを換金することはできますか?
いいえ、小切手は「一括での支払い」が原則です。一部だけを現金化することはできません。